ピピピッピピピッ

「…………」

ピピピピピピッピピピピピピッ

「…ん~…」

ピピピピピピピピピピピピピ――

バンッ!!

「ぅるせーよ朝から……」

そんなこと言っても仕方ない。

目覚まし時計にとって、煩くすることが仕事なんだからな。

てか! もう朝じゃなくて昼じゃねーか!!

時計を二度見すると、もう午後の2時になっていた。

「ぁふ…起きっか…」

まだ普段の半分も開いていない目を擦り、腹に掛けていたタオルケットを蹴飛ばした。

しばらくベッドの淵に腰掛てボーっとしていると、ようやく光に慣れてきた目に昨晩まとめた荷物が映る。

…そーいや、今日あいつに言いに行かなきゃなんねーんだっけ。

あいつ…隣りに住む幼馴染、香絵。

俺の好きなやつ。

そして明日から会えなくなるやつ。

一緒に夏祭りに行く約束を断りに行かなきゃならない。

やっぱ行けねーわ、なんて言ったらあいつ…どんな顔するかな?

やっぱ怒るよな~。

そんなことを呑気に考えながら一階のリビングへ向かう。

ドアを開け、中に入ると誰もいなかった。

両親は色々と手続きがあるから、今日は夕方まで帰ってこないらしい。

…………

寝癖のついた髪をガシガシと掻きながら欠伸をする。

朝飯、てきとーにパンでいっか。

裸足でぺたぺたと歩いて冷蔵庫を開けた。

お、ラッキ。ベーコンあるし。

朝飯はパン&ベーコンエッグだな。

そんなことを思いながらフライパンを取り出す。

…俺、これでも料理得意だぜ?

コンロに火を点け、フライパンが温まった頃にベーコンを置いた。

香ばしい匂いを嗅ぎながら、

「今日、香絵に殴られないように俺を守ってくれよ」

そう食材たちに呟いた。