怒られる。完っ璧に怒られるな。

紙を見つめていた担任がバッと顔を上げる。

「亮! お前いいこと書きやがったなコノヤロー!!」

「「えェェェェェ!?」」

俺と香絵の声が綺麗にハモった。

他の生徒は何事かと不思議に思っているようだ。

担任はというと、亮の肩を叩いて涙を流している。

「お前も深いこと考えるようになったなっ」

亮はだろ? というような自慢げな顔をしていた。

…こんなんでいいのか、俺のクラス…




この日の俺は真面目だった。

いつもなら一時限目からすでに寝ているはずなのに、今日は一睡もしなかったのだ。

途中、現国の斉藤というハゲた教師が何かあったのかと心配して、

「おい杉浦…お前、保健室行ってこい」

と言ってきたくらいだ。

いや、眠かったんだぞ。

本当は物凄く寝たかったんだ。

だけど…

寝たらまた昨日の夢を見てしまいそうで、寝るに寝れなかったんだ。

もう、あんな香絵は見たくない。

そんなわけで、色々と疲れた一日だった。




その日の放課後。

今日は自宅に帰ってきた。

さっき親から、終わったら早く帰ってくるようにってメールが来ていたからだ。

何でだろう?

なんだか嫌な予感がする。

ただの気のせいであってほしいと願いながら、俺は玄関のドアを開けた。

「…ただいま」

靴を脱いで廊下を歩き、リビングに入った。

そこには、平日にもかかわらず両親が揃って俺の帰りを待っていた。

「おかえり、圭太」

母さんが微笑んで言う。