『今は誰ものれへんけど 黙って持っていきな!』

「もう、持っていってしまったんやし・・・貰うわ」

『貰うわちゃうねんっ 優介がほしい言うてたんや』

優介(ゆうすけ)っていうのは3歳年下の弟。

「言うの遅いわ!だいたい優介まだ車の免許とられへんやろ」

優介が車に乗っていいのは2年後。

18歳になってからだ。

『せやけどアンタ、優介が先ほしい言うてたんやから』

「仕方ないやんっ 俺のほうが生まれるの3年早いねんから」

『泣くで』

優介が泣いたところで俺がいる場所は東京やし別に大丈夫だ。

「泣かせときーや」

『雪乃怒るで』

「それは困る!」

優介は昔から泣き虫で甘えん坊。

今は泣き癖は大分直ったが、すぐ甘える癖が直ってない。

そんな優介を昔からメッチャかわいがってるのが俺より4年上の雪乃姉ちゃんだ。

いちよう雪乃は少し名がある歌手をしている。

芸能界では[野上ゆき]っていう名前で通っている。

いわえる芸名っていうやつだ。

『それでもいいんやったら慶介が車もらい』

雪乃は東京都内にいるから俺のところまでスグに来れる・・・・。

「雪乃は勘弁してーや・・。」

『じゃぁ、優介と話し合いし!』

「どうせ雪乃入ってくるやん!!」

いっつもそうだ、雪乃がいなかったら勝つ勝負だって、雪乃が入ってきて負ける。

その度にはずかしいけど俺は泣かされてきた。

「慶介、おはよ~」

「っあ!Mikuさん!」

オカンと言い合いしてる間にMikuさんが来てしまった・・・。

言い合いしてる暇ないやんっ

「仕事やから切るわ!  またな!」

俺は一方的に電話を切った。