「ニノミン、移動教室よ」

何か、聞かれちゃまずい内容を話すつもりなのか?

僕は教科書を持って教室を後にした。


「まさか、人間界の生徒としてお目にかかれるとはね……」

「あの子はそんなに凄い子なんだ」

「えぇ、とても凄いわ」

神様のイッチー(自称)が大絶賛するくらいだから、相当凄い子なんだろうな。

……ノリにあわせて会話してみたけど、僕には何が凄いのかサッパリだ。

「ニノミン、非日常続きで申し訳ないけれど……。あの子は、鬼族よ」

「貴族?今時いるんだね。……どうして貴族が非日常なの?」

はぁ、と1つイッチーのため息。

「鬼の族と書いて鬼族よ」

お、おに?

節分の日に追い出す、あの鬼?

「地獄に住む鬼族か、人間界に留まっている鬼族のどちらかまでは分からないけど」

ちょっとまって、イッチー。

「なんのために、学校にいるの?」

「さあ?」

このポンコツ……。