「皆さん、ご機嫌ようです。転校してきたがために、転校生というレッテルを張られた美原です。よろしくです」

わあ、凄まじい転校生だ。

「美原とでも呼んでくださいです」

美原さんは、ペコッとお辞儀した。

「じゃあ、美原さんはあの空いてる席に座って」

こんなとき、僕が物語の主人公なのだとしたら、美原さんはきっと僕の近くの席に座るんだろうけど……。

そんなことはなかった。

美原さんは、僕の正反対の空席に座った。

「ニノミン、凄いのが来たわよ」

隣からイッチーの声。

ちなみにイッチーは今、僕の隣の席に座っている。

昨日までいたはずの土井は、イッチーの前のクラスのイッチーの席に座っているはずだ。

イッチーの言っていたことだから、定かじゃないけど。


「……これで、朝のホームルームを終わります。次は移動教室だから、遅れないように」

先生が消えたあと、みんなは美原さんのところに集まり始めた。

人間ってほんと、単純な生き物だね。