それでもイッチーは動かない。

「……イッチー?」

「あ、そういえば、言ってなかったわね。私、今日からこのクラスだから」

……………は?

「これぞ、神の力ってやつね」

神様、本物の神様はどこにいるんですか。

「じゃあ、転校生を仕掛けたのも……?」

「それはないわ。前にも言ったでしょう?私は、人間の行動まで操れないの」

ああ、そっか。


「今日からこのクラスの仲間になる、美原さんだ」

美原さんはイッチーの言ったとおり、確かに美少女だった。

でも、なんだか近づきがたい雰囲気を放っているというか……。

イッチーをチラッと見てみた。

イッチーは、口をあんぐり開けているわけもなく、無表情でただただ美原さんを見つめていた。

美原さんの見た目は……黒髪のお団子。

そして、目がパッチリしていること。

それぐらいしか、印象が見つからない。

……あ、着物とかが似合いそうだ。


「美原さん、挨拶をして」

先生に促される美原さん。

先生、転校生を急かすほど、授業の空きに余裕がないんですか?