イッチーは主役だ。

問題を解決するために旅をして、悪役も正して、最後にはハッピーエンドにもっていく。

……僕はハッピーエンドじゃないんだけどね。


「世界が元に戻ったのに、あなたはどうして嬉しくなさそうな顔なのかしら?」

「……やあ、イッチー」

僕は、あのまま世界が狂ってしまえばいいと、そう思っていたのかもしれない。

だって、狂ったままだったら……。

「今日は帰りなさい。きっと、疲れたでしょう?」

「あー、うん。わかった。じゃあね、イッチー。また明日」

「あなたが望むなら、また明日」

なんだよ、それ。

僕が望まなかったら、いなくなるみたいな言い方。

……僕が望まなくなるときなんてないよ、イッチー。