「え?無理よ」

「どうして?」

「あれ」

イッチーの指差した先。

そこには、10メートルもあるであろう、大きな巨人が立っている。

「イッチー、これは僕らが縮んでるのかな?」

「あいつがでかいんでしょうね」

ちなみに、スケジュール帳は巨人が手に持っていた。

イッチーの視力って、どうなってるんだろうか。

「……って、あれ?」

この巨人、どこかで見たことがあるような……。

「……利川さん?」

「そういえば、そんな人もいたわねぇ」

僕の声に気づいたのか、利川さんはしゃがんだ。

どうしたんだろう、しかめっ面をしている。

お腹が痛いんだろうか……?

「トイレの神様、利川さんがお腹痛そうだよ」

「よし、私に任せなさい」

イッチーはごそごそと制服のポケットをまさぐる。

「たらららったらー。便器ー」

イッチーの手には、便器型のストラップが握られていた。