「佐々木…大丈夫なのか?」


『えっ……あ、うん。お騒がせしました』


「良かった、大事にならなくて」




「ほんっとだよねー!!」




ゲラゲラと笑う可耶に対して、あたしはちょっと引っ掛かっていた。




“良かった、大事にならなくて”




ちょっと、ちょっと!!



それは……水沢があたっ…しの心配をしてくれていたって、取っても…良いの?


良いの?!



「佐々木……?」




『あ…はっ、はい!!』




「快気祝いに何か買ってあげようか?」




『か……怪奇…祝い?あたし、ユーレイ見てないよ?』


水沢は何を言ってるんだろ?きょとんとしていると、水沢には見えない死角で小言で



「バカ!」


と可耶の拳が入った。



「あのねぇ!!快気祝いは………ユーレイとかじゃなくて」



『ユーレイじゃなくて?』



「………とりあえず、喜んどけ!!」



『うん?』



分かんないから、可耶の言う通りにしておこう。



注・快気祝い
(意味)全快を祝うこと。



あたし達のやりとりに気付いて無かった水沢は、


「何か見つかった?」



と優しく聞いてきた。
やっさし~~!!


ホント可耶とは大違いだな。



『ジュース……かな?』


「ジュース…分かった。大会の帰りにでもどう?」




『う、うん!ありがとう』



「岡田は?おごるよ?」




「あー、有難いけどパス。お母さんに用事頼まれてるから」




“ワリっ”と謝った。


そっかぁ……。
可耶、用事在るんだ。


帰り道寂しいなぁ……でも、仕方ないよね、お母さんに可耶が頼まれた用事だもん。



「じゃ、大会終わったら」



『うんっ!』



はぁぁ~…。

水沢と一緒に帰れてなおかつ、おごって貰えるなんて……!!

嬉しいよぉ……泣けてくるよぉ……!


あたしの頭の中で、たくさんの天使がラッパを吹いてお花を散らしている。