『………このままで良いよ』
「うん?」
『良いの…』
「そ?」

今は…見つからない。

思えば、手紙は白紙で良かったんだ。
あたしは、待つばかりで何も行動を起こしてない。アドが欲しい…とかは、自分が動いてからじゃなきゃ。

「じゃ、俺から欲しいモノ言って良い?」
『え?いいけど……』


ちょっと、上目遣いであたしを見た。

うずきはじめる心臓に飾り出す、ビート音。

なんか………来るッ!


「佐々木の……」

あっ、あたしのッ!?
何だ!!

く…る、来るなら来いぃッ!

「アドが欲しい」
『…………へ…?』


アドレスぅ?!

な、なんでこんなタイミングに…!?
すごいタイミングで、びっくりするんですが…。

「あ、嫌だったら、諦めるんだけど…」

いや…嫌じゃ無いんだけど…あたしの決心がバカみたいに崩れ去ってしまうんだが…。

『良い…よ?』

「じゃー、はい。赤外線」

にっこり笑いながら、水沢はケータイを差し出した。言われるがまま、ケータイを動かして、赤外線通信を始めた。

ピロリンっ♪と軽快なリズムと一緒に画面に出てきた“水沢潤”の文字。

【“水沢潤”をプロフィールに保存しますか?】

あぁ、あたし今、水沢のアドをプロフィールに保存しようとしてる……。

何人か、男子のアドを保存してきたけど…こんな胸が高鳴るのは、初めてかも…。

あ、あたし、顔赤くないかな?!にやけてない?!

「じゃ、家帰ってから空メールよろしく」
『わ、分かった…』


うわわわ!
水沢とメールだって!
た、確か…好きな人とのメールは3分返信ルールだけど、小悪魔な感じで5分だったり……控えめに入れる絵文字で……


まだメールもしてないのに、にやけながらメールしてるあたしが目に浮かぶ。
こんなので、ちゃんとメール送れるかなぁ……?

「んじゃ、泳ぎますか!」
『へっ?!』

“なんだよ”と、ちょっと不思議そうに放った。


……あれ?

あたし…そーいえば、男と一緒に居るんだよね…?しかも、2人だけでプールって……。

ふと、水沢を見てみた。