左手のエース

「あ、あたし部活着
部室に忘れてる…」





部活が終わって帰る途中、
あたしは正門の前で立ち止まった。





「どーする?舞。戻る?」


一緒に正門まで歩いていた
部員の一人が尋ねてくる。



「どうしよ。面倒くさい。
でも洗わなきゃなぁ…」




「みんな、あしたコイツ臭いよ!!」



部員があたしを指差して言った
その一言で、笑いが起こる。




「あははは、わーかったよ!!
みんなに迷惑かけないように
取りにいくから!!

じゃ先帰ってて!!
お疲れぇ♪」




「はーい♪ばいばい舞♪」




あたしはみんなの群れを離れて
ダッシュで部室に戻る。




部室にはまだ明かりがついてるし、
鍵は空いてるはず…!!






あたしはダッシュで階段を駆け上がって部室まで向かった。





そして、ドアが少し空いた部室の目の前で、
一瞬にして足を止めた。




…ううん。

正しく言うなら、


部室の中で、うずくまって泣いている早紀先輩を見て体が止まったんだ。







あたしは痛む胸に
ぎゅっと目を閉じて、
その場を立ち去った。






試合は5日後


覚悟はできていた。