左手のエース

「まーい!!課題集まったよ♪」





そう言って
教壇に立っている亜耶が
笑顔を向けた。






「ジャストタイミング♪

今課題終わった♪」




あたしは機嫌よく
課題を持って席をたつ。





亜耶と2人で手分けして
課題を職員室に持っていくのが、
昼休みの日課になっていた。







「また全員提出かぁ。

真面目だよねぇ、このクラス。」




あたしは
まるでこのクラスの人間
じゃないような
客観的な口調で言いながら
階段を下りる。






「進学クラスだもんね。

他のクラスはこんな課題すらないもん。ズルイよ」




亜耶は口を尖らせた。



あたしはふと思い出した疑問を
口にする。




「…Y大ってさ、

難関大なの?」






亜耶はすぐにあたしの方を見て、
かわいそうな人でも
見るような表情で答える。



「Y大は…

舞にはとてもじゃないけど…
無理だと…」





あたしは遠くを見る目をして
へぇ、と笑ってみせた。






「うちの高校だって、
受かるのは
3年に1人くらいかなぁ。
それに…
だいたいは推薦だよ。」






「…そうなんだ…」



亜耶の言葉が耳を刺す。