左手のエース

…たまにリョウは不思議なくらい
相手の心境を察知している。




それが生れつきなのか、

右腕が使えなくなってから
敏感になったのかはわからない。






だけど、
人の気持ちが読める分、

周りから気を使われるのが
悔しくて
もどかしいんだろうな

と感じた。







「…じゃ気を使わず
遠慮なく言わせてもらうけど…


あたしん家まで送ってよ?
もう薄暗くて危ないでしょ?」








「ぜってー嫌。」





予想通りの反応。


あたしはふふふ、と笑って
自転車をこぎ始めたリョウに
手を振る。






「今日、ありがとう。
巻き込んでごめん。


じゃーね。」






あたしは方向変換して
家までを歩いた。