左手のエース

気づいた時には

リョウの右側を狙って
飛んでくるバスケットボールを
腕で跳ね返していた。





ボールは虚しく床をバウンドしていく。






「…へぇ…すげぇ瞬発力。

姉ちゃんもバスケ部かよ?」







男があたしに言い終わらないくらいのタイミングで、
リョウはあたしを振り返って言った。




「お前余計なことすんじゃねぇよ」






リョウの冷たくて鋭い視線が
胸に痛みを走らせる。








「それと…」


リョウは男達を見て口を開いた。






「俺は二度とバスケなんかしねぇ。

バラしたきゃ
いくらでもバラせよ」




男達はその言葉の意味を
つかめていない様子で
立ち尽くしていた。













スタスタと先を行くリョウを追って、正門まで来た。
外はもう薄暗く、街灯が灯っている。