「あれ?自覚がなかったんですか?」 自覚も何も死んだという記憶が全くない。 撮影をしていたら、いつの間にかここにいたんだから。 「なら、今から自覚をもたせましょうか」 キレイな顔を楽しそうに男は顔を歪めていた。ゾクッとした。背筋が凍る……そのかんじが今本当にわかる。 コツコツと靴を鳴らして近づく男に抱くのは“恐怖”しかない。 「こ…こないで…」 その言葉を出すのが精一杯だった。男は楽しそうな顔のまま私のすぐそばまで来て片手を私の頭の上にのせた。 「自覚ないなら視せるまでですよ」