TENDRE POISON ~優しい毒~


……


あたしは大人しく保健室に出向いた。


あたしが入るのを確認すると、保健医はドアに鍵をかけた。


一つしかない出入り口を閉ざされた。


嫌な予感がする。



それが何かの合図になったのか、保健医はあたしに近づいた。


あたしは目を細めて、保健医を見上げる。


保健医は、もうあのにこにこ笑顔を浮かべていなかった。


瞳の奥で何かが光って、口の端がつり上がる。




これがホントの姿か。




「書類は?」あたしは聞いてみた。


「んなもん、ねーよ」


口調まで変わってる。この似非保健医が。


やっぱりね。こいつは何か企んでるって思った。


でもこいつの企みにまんまと乗るわけにはいかない。





「じゃああたしは帰ります」


あたしはくるりと方向を変えた。





「待てよ」



保健医があたしの腕を掴んだ。