TENDRE POISON ~優しい毒~


「あたしはお兄ちゃんのことを愛してる。


兄としてじゃなくて、男として」




な……



言葉が出てこなかった。


大きく目を開くと、ごくりと生唾を飲む。





「許される恋だとは思わない。あたしがお兄ちゃんを恋いうることは罪に値する」




罪……



この世に、人を愛することに罪なんて感じる人間はいない。


いや



僕だってそうだった。


まこを好きだったとき、楠と同じような想いを抱いていた。



好きな感情―――それ自体がいけないことだと思っていた。



だから楠の気持ち、分かる。



だけど……



「だからって何で死のうとしたんだ!?


君は死なないことが分かっていたのか。


それも計算か!?」



僕が怒鳴り声を上げると、楠は僕を見下ろしてちょっと鼻で笑った。




「いくらなんでもそこまで計算できないよ」


「じゃ、何で!?死んだら何もならないんだぞ」








「あたしの目的は死ぬことじゃない。




お兄ちゃんの心にあたしが一生残るように。生きてるままだったら、お兄ちゃんとはそのうち別れちゃう。



だけど、死んだら?



死んだら、あたしはお兄ちゃんの心に一生残る」