明良兄は電話の向こうで深呼吸した。 『乃亜が―――目を覚ました……』 乃亜姉が……目を覚ました―――!? 「うそ……」 あたしは目を開いて放心した。 携帯からずるりと手から抜け落ちる。 「鬼頭、楠に何があったんだ!?」 何事か、神代があたしの両肩を掴んで揺さぶった。 「乃亜が―――目覚めた」 あたしは短く答えた。