◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれ?今日がガッコ?」
朝食を食べ終えて、神代がスーツに着替えてる。あたしは首を捻った。
「うん。赤点をとった生徒の補習授業があるんだ。夕方までに帰ってくるよ」
あたしの頬にチュッと口付けをする。
「へぇ先生ってのも大変だね。じゃぁあたしもあとで学校行く」
「何で?」
神代は目をぱちぱちさせている。
「だって一人でここにいてもつまんないんだもん。図書館で宿題でもする。帰りは一緒に帰ろ?」
あたしが背伸びして神代の頬にキスをすると神代は嬉しそうにちょっと笑った。
「分かった。じゃ、帰りちょっと遠出してどこかで食べて帰ろうか」
「うん♪」
あたしは微笑んだ。
神代も微笑みを浮かべ浮かべながら、あたしたちはキスを交わした。
一緒にいることなんてもうないのに。
これが最後のキスなのに。
まるでずっと続くかのように、何でもないように―――唇を合わせた。
―――
神代が家を出ると、あたしはきっちり鍵を閉めケータイを出して電話をかけた。
『もしもし?』
随分久しぶりに思える声にあたしはほっとしたと同時に、もうこの声を聞くことができないと思うと切なくなった。
「明良兄?あたし―――」



