TENDRE POISON ~優しい毒~


あたしは視線を壁に据え付けられてる本棚に向けた。


本棚にはぎっしり本が詰まってる


あたしは“ゲーテ”の詩集を手にした。


何を思ってこれを手にしたのか分からない。だけど、何となくそこに目がいったのだ。


ぱらぱらとめくっていくと、真ん中のあたりでぱっくりときれいにページが開いた。


?不思議に思ってページをめくると、一枚の写真がはらりと足元に落ちる。



写真?何でこんなところに?



あたしは落ちた写真を拾い上げた。




その写真は乃亜姉と明良兄が二人で写ってる写真だった。


乃亜姉が自殺未遂をする、少し前だ。二人とも制服姿だった。


明良兄がカメラを持っているのだろう。手前に腕が伸びていた。


乃亜姉と明良兄、二人は恋人のように寄り添って、明良兄は白い歯を見せて笑っている。


乃亜姉は―――ちょっと恥ずかしそうにはにかんで頬を赤くしていた。





こんな写真いつの間に撮ったんだろ?


それにしても仲がいいな。


まるで恋人どうしみたい。



恋人……