何で保健医なんかに助けを求めたんだろう。
たぶん消去法だと思うけど。
明良兄、には迂闊に近づけない。万が一外で一緒にいるところを見られたらそれこそ、今までの計画が水の泡だ。
梶……には、申し訳ないという気持ちが先立って、どうしても連絡できなかった。
だから、だ。
ううん。それだけじゃない。
何故こんなに胸が締め付けられて苦しいのか。何故こんなにも悲しいのか。
何故、涙が止まらないのか。
その答えを大人の保健医は全て解決してくれる、って思ったんだ。
―――
「ただいま」保健医はマンションの部屋の扉を開けると、大声で声を掛けた。
「おかえりなさい。生徒さん、大丈夫だった?」
中からひょっこり顔を出したのは、大人しそうな女の人だった。
「千夏、悪い。今日一日こいつ預かることになった。お前も居てくれね?」
「預かるって、どうしたの?」
千夏と呼ばれた女の人はびっくりしたように目を丸めている。
あたしだってびっくりだ。
千夏―――って呼んだ。
こいつの女?



