◆◆◆◆◆◆◆◆ 僕は今鬼頭 雅と向き合っている。 放課後の数学準備室――― 「白紙で答案用紙を提出ってどういうことだ?」 机を挟んで椅子にきちんと腰掛けてる鬼頭に僕は答案用紙を突きつけた。 「どうって、意味なんてないよ」 ぞんざいに言って、優雅に髪を掻き揚げる鬼頭。 その瞬間、とても良い香りが香ってきた。 ちょっと甘くて爽やかで、それでいて上品さがある。 何だろ?香水かな? その香りは鼻にとても心地よい。 ずっと嗅いでいたいような、落ち着く香りだった。