「できましたよお嬢様♪」 「しつこい…」 サラサラになった髪の毛が、僕の指の間からするりと逃げてゆく。 「顔洗ってくる」 小走りで洗面所に向かう後ろ姿を見送る。 「いつもごめんね?家のお嬢様は我が儘で困るわ…」 「僕はさやかが好きだから!全然苦にならない…気にしないでよしたくてしてるし」 そんな会話をこっそり聞いて、ニンマリするさやかをじんたは知らない。