12月○×日

見覚えのあるお寺の境内

咲き誇る桜並木

そこに、一段とそびえ立つ
大きな一本の桜に

幼い男の子と女の子が、

手を繋ぎ立っている。

二人は、上を見上げ

「お~き~い~ね~」

「うん、お~き~い」

「また、いっしょにこようね」

「うん。」

「しゅ~んく~ん、やくそくね。」

「うん、やくそく。」

微笑みながら指きりをする二人。



徐々に場面が消えゆく…。
「う、う~ん。」

気だるい体を起き上がらせて、

眠気眼を手で擦る。

視界が鮮明になってくる。
僕は、いつもの病院のベッドの上

真っ白いカーテンに曇りガラス、

外は白い雪が深々と降り積もっていた。

時計の針は午前10時を指す。

僕は、不とさっきの夢を思い出していた。

コン、コン、ドアをノックする音

ドアが開く。

少しおっとりとした口調で
僕を呼ぶ声がした。

「っん君、しゅん君、入るよ~」

声のする方に目をやる、しゅん。

そこに制服姿の女の子が立っている。

世話好きで幼馴染み、お寺の一人娘。

高校3年  桜舞 ほのかだった。