自分でも分ってる。散々仲間に文句を言っておきながら、その実自分が一番何もできない事を。けれど、プライドが高い壁を作りそれを邪魔した。
「強い思いか…」
自室の勉強机に座り直し、ぼんやりと天井を眺めた。
「いい詞が書きたいってところかな。」
母が焼いてくれたアップルパイにもちっとも口をつけていなかった。どんどん
と成長していくアラシや、それなりの才能を開花させていくヒカルたちがなんとなく遠くに見えた。弱気な自分の心が痛い。
「俺なら、できるはずなのに…。分らないんだよ、なんでだよ!」
アップルパイの甘く包み込むような香りが鼻をかすめた。ふと、脳裏に横切る影があった。
「ミア…」
深く思いを巡らせたわけではない。ただ、急にその名が口をついて出てきたのだ。
「ミア・ピウル…」
彼は、もう彼女で満たされていた。遠く離れた国、故郷であるフランスに在住する恋人でありゆくゆくは婚姻の予定がある少女。短めのソバージュヘアーにパープルがかった瞳の美しい面影が、俺の頭、心に一瞬で広がった。そしてそれは暖かく、けれどどこかせつなげに揺れる。これが、「愛しい」という感情なのかもしれない、と心から思った。
作詞どころではない。
「強い思いか…」
自室の勉強机に座り直し、ぼんやりと天井を眺めた。
「いい詞が書きたいってところかな。」
母が焼いてくれたアップルパイにもちっとも口をつけていなかった。どんどん
と成長していくアラシや、それなりの才能を開花させていくヒカルたちがなんとなく遠くに見えた。弱気な自分の心が痛い。
「俺なら、できるはずなのに…。分らないんだよ、なんでだよ!」
アップルパイの甘く包み込むような香りが鼻をかすめた。ふと、脳裏に横切る影があった。
「ミア…」
深く思いを巡らせたわけではない。ただ、急にその名が口をついて出てきたのだ。
「ミア・ピウル…」
彼は、もう彼女で満たされていた。遠く離れた国、故郷であるフランスに在住する恋人でありゆくゆくは婚姻の予定がある少女。短めのソバージュヘアーにパープルがかった瞳の美しい面影が、俺の頭、心に一瞬で広がった。そしてそれは暖かく、けれどどこかせつなげに揺れる。これが、「愛しい」という感情なのかもしれない、と心から思った。
作詞どころではない。

