クラス全体が三人を残して盛り上がっていた中に、いきなり沈黙が生まれた。
「でも、初めにそう決めたじゃないか。」
窓側から、ぽつりと誰かが意を唱えた。
「そうよ、それにみんな条件は一緒だったのよ。」
と、委員長も続けた。
「くっそー、しんじらんねえ。」
金髪の男子生徒は今度は回りに聞こえるように大きく舌打ちをした。
 「ああ、なんかやばい面子だな。天風大丈夫かよ。」
「だよな。」
俺に聞こえていないつもりで言ったんだろうと思うけれど、残念だ、しっかりとその言葉は受け取ってしまった。勿論大丈夫なんかではない。特段罰ゲームをすることには何の反意もない、つもりではある。けれど、俺はその時思わず床にへたり込んでしまった。理事長の息子にして傍若無人でどこか天然な人、それからフランス帰りのウルトラおぼっちゃま。クラス内でも一目どころか、二目も三目もおかれている人たちと、長凡人の自分なんかで、出し物だー?明日から気楽な夏休み。宿題なんぞテキトーに終わらせて倒れるまで遊び狂ってやろうと思っていたその先に、今にも倒れそうな気分だった。クラス中の視線が、心なしか自分をちらりちらりと見ている気がして無意識の間にぎゅっと目をつぶった。