気持ちよさそうにギターをかき鳴らし続けた。ところが。
「あーもう、ストップ。」
スバルが、両手を広げて、ヒカルを止めた。
「何それ、どこのビジュアル系だよ。」
「文句あんのかよ。」
気持ちよく演奏していたところを邪魔され、すっかり不機嫌になったヒカルは、ケンカ越しに指を出す。
「ああ、大ありだね。そんな、ギンギンうるさいだけの音楽があるかってんの。悪いけど、俺には向かないね。」
「テメー、うるさいってどういうことだよ。」
「そのまんまだよ。天風もなんとか言えよ。」
先ほどまで、あまりの曲の激しさに、思わず耳をふさいでしまったアラシは、慌ててヒカルに視線をやった。
「ちょっと歌い辛いんじゃないの。早いし、それに他の学期が合わせにくいと思うんだけど。」
「もっとはっきり言えよ。他のが合わせられねえ？なの、お前らの問題だろう。」
アラシは何も言えず、再び下を向いた。
「だいたいあんた、そんなガンガンしたのが音楽って言えるわけ。」
「言えんに決まってんだろ、分かんねえ奴は黙っとけよ。」
「言えないし。ただ、叫ぶだけじゃんか。ああ、あんたそういう訳の分かんないの目指してんの。だから、そんなわざとらしく金髪なんだー。」