何か言わなきゃ。 「エイト、これくらいの雪なら傘いらないよ」 「そうなの? そういえばみんなさしてない」 「そうだよ。忘れちゃったの? エイトも昔はそうだったのに……」 なんか。 思ったより、あたしの言葉が寂しそうに出ちゃって自分でびっくりした。 色々忘れちゃったのかな? もう、だいぶん昔のことだもんね。 あたしにキスしたことも……。 その空気を敏感に察したのか、エイトは 「これいらない」 傘を折りたたんで、鞄にしまう。 それはもう手際よく。