かたり。 氷が解けた音が響く。 嫌な沈黙。 佐藤の膝の上に手を置く。 これって、キャバクラの基本です。 首の角度も完璧。 間接照明だけのこの店では一番綺麗見える角度。 もっとも男が落ちやすい。 膝を少しさすりながら、 「ここは夜の世界。夢の世界を作るあたしは蝶子っていうんです。苺さん、どの方が存じませんが、今はあたしとの時間を楽しんでくださいね」 完璧。 決まったー。 「妬けちゃいますよ」 おまけに目を見てにっこりほほ笑む。 昔の吉原さながら。