いいや。 このままいっそ何もなかったことに……。 させてくれなかった。 「先輩!! なんでなんで」 声おっきいよ。山本さん。 「ちょっ! 山本さん、静かに」 しっ、と人差し指を口元に当てるが、山本さんは「なんでなんで」を繰り返している。 「なんで、先輩のことだけ下の名前で呼ぶんですか!? ずるいです!」 「え、えっとね……」 山本さんは聞く耳をもたない。 「っていうか、先輩『苺』っていうんですか。そうでしたー」 えっ。 そこ? 山本さん、あたしの下の名前忘れてたんすか。