「コーヒーひとつ」 あたしは窓際の席に腰掛けた。 その店の窓は広く、あたりが見渡せる。 家路へ急ぐ人、大きなクリスマスプレゼントを持つ家族連れ、大人数ではしゃぐ学生たち。 なんかみんな幸せそうだ。 キリスト教徒じゃないけど、便乗しちゃいたくなるのわかるよ。 「おまたせしました」 ウエイトレスがあたしにコーヒーを運ぶ。 「どうもありがとうございます」 静かなやり取り。 あたしはコーヒーを一口飲む。 んん? この味、何か……。