「ちょっ……」
エイトは聞かない。
あたしの左手首はエイトに掴まれているし、後ろは自販機だから身動きが取れない。
「……何するっ!」
非難を込めた眼でエイトを見ると
「一口ちょーだい」
って言いながら、あたしの鼻にキスを落とした。
悪戯っぽく。
「はぁ」
「苺の口、ちょっと苦い……」
キスの合間。
途切れ途切れの言葉。
「コ、コーヒー……飲んだからっ」
「んっ……おいしい」
エイトはそう言いながら、あたしの歯列を舌でなぞる。
味合うように。
ゆっくりと。
ぴちゃりと唾液が絡み合う音が、あたしの耳に響く。



