ああ……。 「すみません」 「別にいいんですよ」 手の中でコーヒーがぬるくなっていく。 「お聞きの通り、データ削除を行ったのは山本さんでした」 「そうですか」 「もうしないと思いますので、安心してください」 エイトはにっこりほほ笑む。 「……ありがとうございます」 聞き耳立ててた時もそうだけど、エイトがあの事を気にしてくれてるのが嬉しかった。 それが仕事だから、だとしても。 だから、あたしは素直にお礼を言った。