「あたし、それじゃあ失礼します」 もう出たい。この部屋から。 ずっといたらボロが出そう。 「おお、悪いね」 部長が手を振ってる。 「じゃあ、また明日ね」 エイトは、あたしに軽く会釈した。 それはもうビジネスライクに。 『また明日』 また……。 あたしの知らないエイトが、あたしの知ってるエイトと同じ言葉を言う。あのころと同じ言葉。 なのに、言う本人は全然違う。 駅に送ってくれたエイトとも違う。 エイトがよくわからない。