その先へ

剣道の団体戦は1チーム5人編成で行われ、一番手から順番に先鋒・次鋒・中堅・副将・大将となっている。
この中で勝利の鍵を握っているのが中堅である。よってどのチームも中堅にエース級を投入してくることが多いのである。


「自分が中堅なんて…無理ですよ!!」

「無理じゃねぇよ!!俺はお前を見た時から目を付けてたんだ。練習見てても太田と互角にやってんのはお前だけだ!!」

「いや…でも…自分試合出たことないんで…」

「でもじゃねぇ!!試合を拒んできたのもお前だろうが!!そもそも何でそんなに試合に出たくないんだ?言ってみろ!!」


今まで何度かレギュラーに選ばれそうになったことがある。それを力不足などを理由に辞退してきた。監督もさすがにそれだけが理由じゃないことを感づいていたようだ。

剣道が嫌いなわけじゃないし、中途半端にやってきたつもりもない。しかし、試合に出ることは僕にとってある苦痛を強いられることとなる。それが分かっているから僕は出たくないのだ。

しかし、本当の理由を監督には言えない。

僕は黙って俯いた。


「…。ないなら出ろ。以上!!もう行け!!」

「…はい…。失礼しました」


小さく返事をすると、部屋をあとにした。

普段の説教よりだいぶ真っ青になっていたようで他の部員がいつも以上に慰めてくれたが、復調の兆しは見られなかった。