「もしもし?ジュン?」


電話の声は紛れもなくカノンだった。


「そっ…そうだけど…」


僕は誰が聞いても分かるぐらいの不自然さで返事をした。


「今、大丈夫?」

「う…うん…」


するとカノンは何かを話し始めるわけでもなく黙り込んだ。言葉を選んでるのか、タイミングを見計らっているのか。

しばらく沈黙が続く中、先に痺れを切らしたのは僕の方だった。


「あのさ、カノン!!」

「え!?あっ…何?」


急なことに驚くカノンをよそに僕は続ける。


「今日はごめん。自分…これからもカノンと仲良くやっていきたい。なのに…あんな態度とっちゃって…」

「ううん、私も意地張っちゃって…ごめんね」

「カノンは何も悪くないよ!!自分が勝手に…!!」


そう言うと僕は言葉を詰まらせた。勢いでカノンに好きという主旨を伝えてしまいそうだったから。


「勝手に…何?」


カノンの質問に頭が真っ白になり、


「さっ…寂しかったんだ…」


と答えた。


「寂しかった?どういうこと?」


僕は深く深呼吸をして動揺した気持ちを抑えながら話し始めた。