「いいよ、行って来てよ」

「ううん、ここにいる」


柔らかく断っていたが、なかなか引き下がらない彼女にだんだんイライラしてきた。何度か同じやりとりをしているうちに我慢できなくなった僕は、


「いいって言ってるじゃん!?」


と怒鳴るように言った。しまったと思うが遅く、辺りには気まずい空気が漂っている。
しかしそんな状況にもカノンは、


「ごめんごめん。じゃあ行って来るから、みんな行こう!!」


と、笑顔でみんなを先導しお化け屋敷に向かう。気まずさが残ったままのみんなもカノンと僕を交互に見て『じゃああとで』と彼女について行った。



自分のテンションの低さと、そのせいでカノンに対して酷い態度に自己嫌悪になる。ベンチに座って沈んでいると、


「ジュン!!」


と、遠くから僕を呼ぶ声がする。フミナだ。


「どうしたの?」

「私…実は怖いの苦手なの。だからジュンを言い訳に戻って来ちゃった。迷惑だったかな?」

「全然!!どうぞ」


そう言うと僕はフミナに隣に座ってもらった。
彼女が怖いのが苦手とは知らなかった。だからあの時も青ざめたタキと僕を理由に反対していたのか。何だか意外だ。