のろまのかめがいいました。

くじらの大きな、背中の上で。


「どうしてそんなに心配することがあろうよ」


くじらは背中から、ふしゅーっと、水を噴き出すと


「だって、こうして海に暮らしていることは楽しいもの。
空の上が楽しいかどうかわからないから」

クジラの背中から
ふしゅーっと噴き出した水が
きらきらと海に散らばり
小さな魚が喜んでいます。


のろまのかめがいいました。

「そんなんだったら
もしも空が楽しくなくて、海の方が楽しかったら
こっちに戻ってくればいい」


くじらは自分の背中に乗るかめにいいました。


「もう二度と、戻ってこられないかもしれないから」