虹色パレット

まさかだ、まさか!

頭を抱えていると、メールが一通。



『優しくしないこと』



千波からで、そのメールは……遅かった。


あの顔、どう見ても…。

勘違いじゃない。



『優しくされると期待しちゃうのよ…慶、私も期待しちゃってる…』



昔の記憶が蘇る。

タバコ吸って、俺の腕に絡み付いてきた……誰だっけ。



『ねぇ…最後にキスして。忘れられない唇にするの』



『忘れられない唇?』



『慶のキス、誰よりも上手いし。それに…本当の恋を知ったから』



忘れられない唇。

俺にとって、忘れられない唇は……。