虹色パレット

ベンチに座って、ポロポロと涙を流している川原。

それを隠れながら見ている俺。


どう動けばいいのかわからなくて、見ていることしかできない。



「…うぅ…」



…昔もこんなことあったっけ。

高校生のとき、好きと言ったわけでもなく、付き合ってるわけでもないのに、頬ひっぱたかれて、勝手に泣いた女がいた。



『いつ好きって言った?』



今、思うと…俺、最低だった。



「うっ…ひっくっ…」



「……川原」



ビクッとして、近づいてくる俺をじっと見ていた。



「あ、あの、さっきは…」



「や、マジで、あれは事故みたいなもんで…」



言い訳しても、信じてはくれないだろう。