虹色パレット

『好きになっちゃった?組長さんのこと』



わざと言ったんだろうな。
俺がその言葉に揺れるか試したのか。



「馬鹿が」



組長は好きだ。

大好きだ。


だけど、恋愛感情はない。

あるとしたら、家族愛だ。


妹のような、時に姉のような、娘のような。


もし、俺が組長を好きになったら、俺はとことん馬鹿で最低な男だ。


俺には蒼空がいる。

もうすぐ、俺のとこに帰ってくる、大切な女が。


もう離さないと決めた。


だから、離婚が成立したら…すぐにでも帰ってきてもらう。



走りながら、俺は空を見上げた。


蒼空と別れたときみたいな空だった。


太陽が眩しくて、思わず目をつぶった。