虹色パレット

「俺は犬かよ!」



「犬以下だと思ってる」



「わぁーん!組長ーっ」



組長に抱き着いて、嘘泣きをする紀一。

そんなに、殴られたいのか。



「き、紀一さん!」



「あぁ!あんなとこに空がいる!」



適当に指差してみた。

それに引っかかって、勢いよく組長から離れた。

キョロキョロとして焦っている。



「馬鹿が」



組長を引っ張って、先に進んだ。

組長に抱き着くなんて、絶対許さねぇ。


腕を引っ張りすぎたのか、組長が痛そうな顔をした。



「あ…すみません!」



バッと手を離した。

少し赤くなった腕にどうしようか焦っていると、組長が俺の手をつかんだ。



「手を繋ぎましょう」



そうしたら赤くならないでしょう?という顔で笑った。