虹色パレット

怒ってやろうと思ったら、組長に抱き着いて逃げやがった。


「笹河さんって最低。女の子の気持ちもわからないの?」


組長のほうから声がした。
…え?まさか?


「これは、愛情表現のひとつというもので…」


…待てよ?

組長の後ろをそっと覗くと、蒼空がニヤニヤしていた。



「そんなにやられたいか」



「げっ、ばれた」



「組長がそんなこと言うはずがねぇからなっ」



「馬鹿めっ、心の中でちゃあんと思ってるよ!」



思ってねぇ!

優しい組長がそんなこと!