虹色パレット

「紀一」



「おっ、今な…強化ガラス頼んだからっ」



「じゃあ、来る前に話すか」



「…窓を割ったやつのこと?」



「そうだ」



前にも、俺は警察にマークされた。

組長の家には盗聴器があった。

色々と仕掛けてあったんだ。


偶然とは思えない。


「…あれじゃね?阿波じゃね?」


「阿波?誰だ、そいつ」


「大学の時、お前に負けまくったやつ。勉強もスポーツも」



あぁ?

知らねぇな。
そんなやついたか?


……阿波ねぇ……。


ダメだ。やっぱり思い出せない。


顔は……ぼんやり?覚えているような…。


覚えていないような…。