虹色パレット

せっせと食べていると、ぞくりとした。

視線を感じる…。


組長のうしろに、蒼空が立っていた。

…いや、浮気じゃねぇし。

そんな目で見んなよ。


俺はクッキーを頬張ったまま止まっていた。

組長は不思議そうに俺を見て、振り返った。


「あれ?蒼空さん、クッキー食べ終わったんですか?」


「うん、おいしかったから」


ニコリと笑って、俺を見つめてくる……美味いんだから、仕方ないだろ?


お前も、何か作ってくれたら食うぞ。


残さず、ちゃんと…。


「笹河さん。あたしが食わせてあげますよ」


「ちょっ…待っ!」


「ほれェェェェ!」



グシャッと箱ごと口に突っ込んできた。

グリグリと押し込みやがって。


「うっ…」


吐いたら組長が悲しむ。
吐いたら…組長が悲しむ…。

吐いたら……。



「おいしいですよね?」



苦しむ俺の肩に手を置いてニヤリと笑った。

…そう来たか。


なら、俺だって!