虹色パレット

「うははははは!泣いてないですよぉ」


俺を指差して、大笑いする蒼空の頬をつねった。


本当は、抱きしめたかった。

泣いてると思うと、怖くて。


…馬鹿だな。
俺、手震えちまってる。

嫌われたくない。


ずっと俺だけを見て、俺のことだけを考えていてほしいと、毎日思ってるからだな。


一瞬でも、俺を考えなくなる日が来ることを恐れてる。



「いひゃい!いひゃいひょ!」



組長の前で、こいつを抱きしめるわけにはいかない。


俺は精一杯、自分を抑えた。


「はぁぁぁ…悪魔めっ」



「お前は………悪魔だろ」


「女神ですよ、こんな優しい女神に何てことをっ」



……天使と言おうとしてしまった。

あぁ、馬鹿になってきたかも。

いや、最初から馬鹿か。