僕は悩んでいた。




あの時もし、送信ボタンを押していれば。

なぜ押さなかったのか。



いや、押さなかったんじゃない。
『押せなかった』のだ。
自分はそれに気付いている。

僕が見ている世界が一転してしまう気がして。
自分が自分でなくなるような気がして。




もし押せていれば、少しはマシな今を過ごせていたのだろうか。

別に幸せでなくてもいい。
不幸でなければそれでいい。





たった一瞬。

指一本で出来たことなのに。