額に――少し、冷たい感触。

まどろみの中……誰かの手のひらが触れているのだと、時間差で知覚する。

額から離れていくその手を掴もうと腕を伸ばすが、手のひらは虚しく空を掴む。

だけどすぐに……空を掴んだ手のひらを、包み込むように触れる――

少し冷たい……この手は――


「……母さん……? 帰って……」


ぼんやりとした視界が、彼女を知覚すると一気にクリアになる。