芹沢の合図と共に
みんな抜刀する。


智咲はまだ刀を抜けずにいた。


怖いよ。怖い怖い怖い。

あんなに覚悟を決めてたのに。
あんなに一生懸命稽古もがんばったのに。

実戦で使えなきゃ意味ないよ。

助けて。助けて助けて・・・
誰か助けて。


心の中で迷い続ける智咲はあることを思いつく。


・・・・気絶させるくらいなら、
大丈夫、だよね・・・。

死なないもん。
死なないところを、
思いっきり刀でバシッってやっちゃえば、
大丈夫。

そう思った智咲は刀を腰から抜く。


太陽に輝く夕陽が綺麗だった。


この子がいるから大丈夫、と言い聞かせ、
智咲を後ろから斬りかかってきた
力士を軽々と避け、
素早く後ろに回り込む。

「痛いけど・・・
死ぬよりはマシでしょ?」

そういって智咲は力士に思いっきり
刀の持ち手で首の付け根を突いた。

びしっ


どたぁん!

力士は倒れた。
智咲は次々と自分に斬りかかってきた力士に
打ち込んでいく。
打ち込んでいくのに必死で周りが見えなかった智咲は
自分の周りを見る。


自分が気絶させた力士もいるが、
沖田たちが斬りこまれて死んだ力士もいた。
智咲は恐怖という感覚に襲われる。

「ひっ・・・」

カシャンっ

智咲の持っていた、刀が地面に落ちる。

その隙を狙って力士が智咲に斬りかかった。


「危ない!智咲さんっ!!」

総司さんがそう叫んだ気がしたと思って後ろを振り返ったら、
目の前に刀を振り上げていて今にも自分に
斬りかかりそうな勢いの力士がいた。

ズサッ

人の肉を切る、嫌な音が智咲の耳に届く。

「嫌あああああああああああああああああああああっ!!」