その光景を遠くから見ていた私は、
悲しくなった。


これは、過去の記憶。

嫌。思い出したくない。
お父さん、助けて。


突然視界が真っ暗になる。

光は一筋もない。


「・・・さき。
・・・ちさき。
智咲。」

懐かしい声。

声のする方を見る。


そこには、仲いい両親が私を呼んでいる。


「お父さん!お母さん!」

私は2人のもとへ駆け寄り、
抱き着く。




「ちさ・・き、さん?」


「え・・?」


沖田さんの声が聞こえた気がした。



「・・んか。
あんたなんか生まれてこなければよかった。」

上から声が聞こえる。



「え?」

お母さんの声だ。

「お前なんかいらない。
不幸を運ぶ子なんか、いらないんだ。」

お父さんの声も続く。


「ご、ごめんなさい!
ごめんなさいぃ。」

私は必死に謝る。


ぽん、ぽん。

頭を撫でてもらっている。
だれかは知らない。
けど、

・・・・とても優しくて、温かい手。